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ソ連崩壊20年―民主化抜きに安定なし

 ソ連の崩壊から、20年が過ぎた。民主化や民族自立、効率的な経済を求めるうねりで、かつて米国と世界を二分した社会主義の連邦国家はつぶれた。

 最後の指導者ゴルバチョフ大統領は「諸民族は繁栄し、民主的な社会に暮らすだろう」と辞任時に語った。しかし、新たに独立した国々のほとんどで、それは実現していない。

 まず、旧ソ連で最大の国家ロシアが、下院選の不正問題で相次ぐ大集会に揺れている。

 ソ連崩壊で互いのつながりが切れた経済は大きく混乱した。ロシアのプーチン首相は大統領を含めて12年間の支配でこの混乱をおさめ、原油高の追い風で経済を成長させた。

 だが、野党やメディア、経済をきびしく統制するなか、汚職と腐敗が深刻化した。資源依存型の産業の停滞傾向も受け、経済成長で生まれた中間層を中心に不満が一気に高まった。

 来年3月の選挙でプーチン氏は大統領復帰を目指す。同氏による安定の実現を評価していたゴルバチョフ氏がいま、「私のように自発的に退陣せよ」と求め始めたのは象徴的だ。

 中央アジアの国々の政治も強権色が濃厚だ。カザフスタンとウズベキスタンではソ連時代からの指導者が、政敵の迫害や不正だらけの選挙などを使い、20年以上も居座り続ける。

 欧州に接するベラルーシではルカシェンコ大統領の長期独裁が続く。「オレンジ革命」で民主化を進めたはずのウクライナでも、野党への迫害に国際的な批判が高まっている。

 どの国も、政権からの過剰な介入で健全な市場経済が育たない。その結果、貧富の差や汚職の拡大が国民の不満を増幅させる悪循環から抜け出せない。

 ロシアと同様、豊かな天然資源で経済が急成長したカザフスタンでも今月、石油企業の労働者らが生活改善を求め暴動を起こし、多くの死傷者が出た。ロシアの事態とあわせ、強権への警鐘と受けとめるべきだ。

 プーチン氏は、旧ソ連諸国が「ユーラシア連合」をつくり、経済統合を強めることを提唱している。だが、抜きんでて大きなロシアの資源と経済力で各国の強権政治を支えるだけなら、その先行きに展望はない。

 欧州から極東までの空間に広がる旧ソ連諸国の動向は、北朝鮮やイランの核開発、アフガニスタンの安定化などユーラシアの安全の問題にも直結する。

 改めて、民主化に本腰を入れる。安定と繁栄を求めるなら、ロシアはじめ各国指導者に、とるべき道はこれしかない。