Katayakiyakisoba

河村流減税―市民が責任負う覚悟を

 河村たかし名古屋市長が公約していた市民税の減税条例が、おとといの市議会で成立した。これで来年度から、市民と法人の市民税が5%ずつ下がる。

 初当選から2年8カ月。河村市長は当初、唱えた10%減税を半減させて、ようやく市議会と折り合った。

 減税に向けて、市長は市議会と全面対決を繰り広げてきた。

 いったん10%減税を実現させたものの、市議会に恒久化を阻まれると、市議会の解散を求める署名集めの旗を振った。

 同時に、みずからも辞職し、2月の知事選と議会解散の住民投票に出直し市長選を加えたトリプル投票に持ち込み、いずれも圧倒的な支持を集めた。

 さらに出直し市議選でも、自分が率いる政党「減税日本」を第1党に押し上げ、「公約は再び民意を得た」と迫った。

 それでも減税率を圧縮したのは、来年度からの実施を優先したからだ。その結果、自民、公明、民主3党も賛成した。

 市の試算によれば、減税総額はざっと80億円。夫婦と子ども2人世帯で年収500万円なら年に5800円、1千万円なら1万7500円の減税になる。

 その財源を、市長は「無駄遣いをなくし、行政改革で生み出す」と確約し、減税額を上回る経費節減を断行した。市議の報酬も半分になった。

 こんな市長の手法は、行革の観点からは成功例といえる。「減税」を市民に直接訴え、市政への関心を高めたことも前向きに評価する。

 ただ、「減税は民意ですよ」と突っぱねる議会対応は、やはり丁寧さを欠いていた。

 河村流が首長と議会の関係、大都市制度のあり方にも一石を投じたのは確かだが、その成り行きはまだ見えない。

 いま、大震災のための復興増税が決まり、さらに消費増税の議論が具体化しつつある。そんななか、名古屋市ではすったもんだの末に減税が決まった。

 これは、自治の壮大な実験である。結果はどうなるのか。

 市長が強調した減税による経済効果は、本当にあるのか。歳出削減が公的サービスの質的低下を招かないか。議会と約束したとおり、定率減税の恩恵を受けられない低所得層への対応策を充実できるのか。

 こうした減税の是非、影響と効果を検証するのは、「庶民革命」を唱える河村市長や、条例を通した市議会だけの仕事ではない。

 「減税」を選んだ市民自身が、その責任を負う覚悟で見届けていく必要がある。

検索フォーム